howdoyoufeel

好きな人と 好きな場所で 好きな服で 好きな声で

忘れていたのはこんなこと?

朝の澄んだ空気

 

家の廊下のにおい

 

帰り道ですれ違う灯油販売の車

 

16時30分のあわいピンク色の空

 

夕暮れに染まるバイバイの声

 

しなしなの落ち葉たち

 

ショッピングビルの前にそびえ立つ大きなクリスマスツリー

 

どことなくさみしげなスーツの背中

 

この時期に聴く「街の報せ」

 

"波も涙もあたたかい

忘れていたのはこんなこと?"

 

(街の報せを待っている)

 

 

春の匂い

春の匂いがすき

君が言った春の日

入学式の日の匂いだったり

夜桜を見る前のうすぐらい夕方の匂いだったり

あなたの背中の匂いだったり

するんだよ

君が言った春の日

僕には

春の匂いがわからない

それは今でもわからない

近所の春ちゃんに聞いてみるか

そんなことしたら

君にしかられるか

ふくれっ面が目にうかぶよ

僕には

春の匂いがわからない

だけれども 僕は

春の匂いがすき

君を思い出すときの匂いは

きっと

春の匂いだから

夕列車で行こう

夏の夕方

電車に乗って帰る

ボックス席の通路側に座る

となりの人を気にしつつ

空をみる

 


ちょうど暗くなってくる頃

電車の蛍光灯の方が

空のあかるさよりも強く

外をみているのに

となりの人と窓越しに目が合う

互いに若干の気まずさが生まれる

スマートフォンに目をやる

 


はっと思い

外に意識を向けると

発車駅付近のビル群はとうに遠ざかり

あまりにも美しい夕やけが

電車をつつんだ

 

 

みんな外をみている

となりの人の目の色がかわる

斜め前の人の気持ちがうごく

今ならばいえるだろう

そんな風に

 


この電車はたぶん

次の駅を見失っている

あるいは

そう見せかけている

 

 

停めたくないだけさ