2020-10-03 ゆうべのふたり ゆうべのふたりは どこかやわらかく とりとめもなく ケイトウの触り心地に甘えて すべりおちてゆく こわくはないから たっぷりと見つめあって レコードと花梨色の灯りで 遠くのあの日を忘れてしまう たとえばいずれ ひとつひとつの 形はなくなっても 思いは月が持っていく 光はすべてを抱きとめる かなしみにはレモネードを 夢と現実のあわいで待ち合わせて ゆうべのふたりは どこかやわらかく きれいなグラスの色さえ 届かぬほど満ちてゆく